Q. タバコの煙は我慢しなくてはならないのでしょうか?

ー他人からタバコの煙を吸わされること(受動喫煙)は、健康上の害があることが科学的・医学的に明らかにされています。受動喫煙をさせられないよう求める権利があります。

Q. 自宅でタバコを吸うのは本人の自由だと言われました。

ー2012年に名古屋地裁で、タバコの煙の害について不法行為責任を認め、慰謝料を認める判決が出ています。

Q. 自分の部屋の中でタバコを吸う人に対しては、何もできないのでしょうか?

ータバコの煙を外に排出している以上、自室内であっても喫煙が無制限に許されるものではないと考えられます。自室内の喫煙であっても、不法行為を構成することがあり得ると考えられます。(2012年、名古屋地裁判決の内容から)

Q. 集合住宅の管理規約で、ベランダでの喫煙を禁止していないと言われました。

ー管理規約でベランダでの喫煙を禁止していない場合でも、タバコの煙が他の居住者に害を与えている時には、喫煙が不法行為を構成することがあるとされています。(2012年、名古屋地裁判決)

Q. タバコの煙がいやなら、窓を閉めればいい、開けているのが悪いと言われました。

ータバコの被害を受けている人が窓を開けていることが落ち度になるとはいえないとされています。(2012年、名古屋地裁判決)

Q. 自分が先に住んでいたのだから、文句を言うなと言われています。

ーベランダでの喫煙があるかどうか容易に確認することはできないから、後から入居した人がタバコの煙が入ってくる場所を選んで入居したということはできないので、後から居住したことをもって、タバコの煙を受忍すべきということはできない、とされています。(2012年、名古屋地裁判決)

Q. タバコの問題は、法律で解決できないのではないでしょうか?
 タバコの問題で訴訟を起こしても、わずかな金額の賠償しか認められないのだから、法律は役に立たないのではないでしょうか?

ー2012年に名古屋地裁で、タバコの煙の害について不法行為責任を認める判決が出ています。また、法的な問題解決の方法は、訴訟以外にも、弁護士による喫煙当事者や管理責任者への申し入れなどさまざまな方法があります。タバコの問題は法律で解決できないのでは、という思い込みであきらめないで、解決を探すことが大切です。

Q. タバコの問題の解決のために、参考にできる本はないでしょうか?

ー以下の本が参考になります。

 住環境トラブル解決実務マニュアル
 東京弁護士会 (著), 第一東京弁護士会 (著), 第二東京弁護士会 (著)
 amazonhonto至誠堂書店紀伊國屋書店楽天ブックス

Q. 近隣住宅のタバコの問題に、どこから手をつければいいのでしょうか。タバコで害が出ているという根拠は、どのように集めればよいのでしょうか?

ー重要なことは、
タバコの煙がどこから来るのか、を突きとめる:実際に見る、話し合いで調べる、管理会社・管理組合・近隣から情報収集する。可能な限り、写真や録音で記録する
タバコの煙がいつ(時間帯)、どのくらい流れてくるのか、記録をつける:体調に不良が出ている場合、症状も記録する
タバコの煙でどのような問題が起きているか、記録する:窓が開けられない、窓を閉めても入ってくる、洗濯物が外に干せない、換気ができない、など
タバコの煙の問題を感じているのは、誰か:本人、同居家族、訪問した友人・知人、近隣の住人など、可能な限り多くの証言を集めておく
ことです。

タバコの煙による症状が出ている場合、「受動喫煙症」の診断が受けられる病院・クリニックで、診察を受ける
という方法もあります。(受動喫煙症の診断の受けられる病院リスト

また、
タバコを吸っている人の年齢、性格、家族構成、職業、社会的地位についても確認する
 独身なのか、夫婦でヘビースモーカーなのか、子供がいて家族が問題解決に協力してくれるのか
 自宅で仕事、夜間の仕事、スーツを着ている・着ていない、定年退職、無職、言動が粗暴か紳士的か、など
を把握することも、直接のお願いや、弁護士からの内容証明郵便などが、効果があるか、を考えるために重要です。

Q. タバコの煙を止めてもらうために、どのように交渉すればよいのでしょうか?

ーいくつかの方法があります。
 ただし、相手によって、効果がある場合、逆効果になる場合があるので、よく考えて方法を選ぶべきです。

喫煙している人に手紙を送る・話し合う
 被害を受けている本人から、苦痛に感じていることを示す手紙を送付する。
 協調的な話し合いで円満に解決できる場合もあるので、対立姿勢にならないよう、丁重なお願いの文面にする。
 当事者同士で感情的な対立が強くならないように注意する。
 タバコを吸う場所や時間などについて、どのようにしてほしいか、具体的な要望・提案にした方が、話が進みやすい。
 手紙の日付や文面のコピーを必ず保存しておく。
 必要に応じて、受動喫煙症などの診断書のコピーも添付する。

マンションの管理組合、アパートの管理会社などに要望・相談する
 共用部分・ベランダで喫煙しないよう、掲示や文書の送付、対面での働きかけを依頼する。
 喫煙している人への働きかけのほか、誰が喫煙しているのかについて調べるよう依頼することも考えられます。
 管理組合・管理会社などとのやり取りは、日付や文面、会話の録音などを保存しておく。
 受動喫煙症などの診断書も活用する。

弁護士に依頼して、内容証明郵便による通知または警告を送付してもらう
 弁護士より文書が送られることで、問題を解決できる場合があります。
 また、弁護士に相談することで、管理組合、管理会社、市区町村、警察などへの問題解決依頼がスムーズに進められる場合があります。

警察
 喫煙している人との間で、対立がエスカレートして犯罪が起こり得る場合などに備えて、警察に相談し、訪問を依頼するという方法が考えられます。
 特に、喫煙している人が粗暴な場合には、犯罪防止のために警察に相談する方法があります。
 警察官の訪問や、警察官による注意によって、受動喫煙の問題が解決する場合もあります。
 警察の部署や担当者により、喫煙トラブルに関する理解に温度差がある場合があります。対応してもらえる部署・担当者を根気よく探すのがよいでしょう。

Q. タバコの煙で症状が出るというのは、言いがかりか思い込みだと言われています。
 タバコの煙で、どのような健康被害が出るのでしょうか?

ー以下のような症状が、受動喫煙によって引き起こされます。
急性症状:めまい、吐き気、倦怠感、流涙、結膜炎・鼻炎・咳・咽喉頭炎・気管支炎。発疹、頭痛、狭心症、心房細動、一過性脳虚血発作、体調不良、うつ症状など
慢性症状:化学物質過敏症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、糖尿病、メタボリック症候群、心房細動、心筋梗塞、脳梗塞、COPD、自然気胸、肺結核、がんなど

受動喫煙症は、急速に健康や心の状態を悪化させ、気がついた時には、仕事が続けられない、冷静に判断・行動できないなど、どうしようもない状態になることがあります。
早めに専門家に相談して、対応するのがよいでしょう。(受動喫煙症の診断の受けられる病院リスト

Q. マンションの部屋を締め切っているのですが、タバコの煙が入ってきているような気がします。なぜでしょうか。

ー24時間換気システムによって、常にベランダなどから外気を取り入れる仕組みを採用している場合があります。この場合、窓を閉め切っていても、サッシなどの隙間や換気口から、タバコの煙が流入してくることがあります。

Q. タバコの煙がほんとうにつらいのですが、そんなことを言っている人が周囲にはおらず、自分ひとりだけのように思えます。ひとりで問題を起こすくらいだったら、我慢するしかないのかと思っています。

ータバコの問題は、孤立することによって、よりつらく耐えがたいものになります。
 同じ問題で苦しんでいる人同士で、問題を共有し、助け合っている団体があります。
 一人で苦しんでいるよりも、相談してみることをお勧めします。